【最強コンテンツの作り方 第1回】質の高い情報の集め方

【最強コンテンツの作り方 第1回】質の高い情報の集め方

もはや、ネットで集めた二次コンテンツを大量生産する時代ではありません。情報洪水の時代だからこそ、差別化を図り、ユーザーに信頼される価値の高いオリジナルコンテンツが求められているのです。

今回から始まる連載「最強コンテンツの作り方」では、情報収集からインタビュー、取材、企画、文章の作成方法まで、ユーザーの心をつかむコンテンツの作り方をお届けします。
第1回は、情報収集の目的と方法についてご紹介します。

情報を集める2つの目的

コンテンツ制作にあたって、最初にすることは情報収集です。コンテンツ制作者にとって、情報は企画を生むためのエネルギー源です。日頃からアンテナを張っておくかどうかで、コンテンツ力に大きな差が出てきます。携わっている仕事の内容によって、どんな情報をキャッチアップしておくべきか、常に意識しておく必要があります。

情報収集には2つの目的があります。
「広く情報をインプットして引き出しを増やす」という目的。そして、「狭く深く知見を溜めて新しい切り口を探す」という目的です。

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この両方の目的を持ちながら情報収集することが重要です。それは、単に詳しい情報をユーザーに届ける、という意味ではありません。収集した情報から、新しい切り口や視点を見つけ、価値の高いコンテンツを企画するためです。

1 ウソを見つける

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それでは実際に情報を探すとき、どのような意識を持って行えばいいのでしょうか。

何かを調べたいとき、誰もがまずインターネットで情報を探すことでしょう。現在はインターネットで、大抵の情報を集められます。しかし、インターネットで見つかる情報の多くは、ウソだと思ってください。

特に一個人がブログで書いているような、情報ソースが不明の記事は疑ってください。1つの情報だけを信じるのは怖いと思い、3~5サイトの情報を確認して、裏をとった気になる人もいますが、お互いがコピペし合っている可能性も高いので要注意です。

まず情報ソースが、信頼できるメディアや人であるかを確認しましょう。では、玉石混交の情報が氾濫するインターネットで、どのように情報の真偽を確かめれば良いのでしょうか。

私は以前、書籍を出版するとき、歴史上の有名な名言を調べたことがあります。しかし、いざその名言の情報ソースをたどっていこうとすると、これがなかなか見つかりません。

例えば、スティーブ・ジョブズが言ったとされる有名なある名言がありました。インターネットで調べると、あちこちに出てくる有名な名言です。ところが、この「有名な名言」を紹介しようと思って、スティーブ・ジョブズが、いつどこで、その発言をしたのか調べたのですが、まったくわからなかったのです。

日本語で広く知られたその名言を、自分で英文に訳して、海外のサイトで探してもみました。国会図書館をはじめ、都内の図書館も歩き回りました。出版されている彼に関する書籍も、すべて洗いざらい目を通しました。しかし、どこにもその名言は見つからないのです。つまり、誰かの創作したウソが独り歩きした可能性が否定できないのです。ネットでは、出典元も不明のまま、当たり前のようにあちこちで紹介されています。これは、コピペがコピペを生んだ典型例でしょう。

もしかしたら、スティーブ・ジョブズが本当に言った言葉だったのかもしれません。しかし、裏がとれていない情報を発信するわけにはいきません。それ以外にも有名人の名言の出典元を探すと、結構高い比率で裏がとれない怪しい名言がありました。

インターネットで見つけた情報の信憑性は、情報ソースを特定するしかありません。社会的に信頼性が高いとされるメディアや人であれば、「情報元」として引用をさせてもらえばいいでしょう。しかし、情報ソースが明らかになっていても、一個人やアフィリエイト目的のサイトには気を付けなければなりません。なぜなら、コピペとステマの巣窟であるからです。

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例えば、葉酸サプリを販売する、ある通販サイトがあったとします。そこには、葉酸の効能が書かれています。「厚生労働省認可」「有名タレントも絶賛!」といった、信頼性を担保するような文言も記載されているかもしれません。しかし、こういった記事も、どこかからコピペしてきている可能性があるのです。

数年前、株式会社ディー・エヌ・エーが運営していた「WELQ」という医療・健康関連のメディアが、いい加減な記事を配信して業務停止に追い込まれました。ネットワーク広告で稼ぐメディアは、アクセス数に応じて収入を得るため、極論、アクセスさえあれば読まれなくてもビジネスになるのです。情報源も不明、ライターも匿名。コンテンツへの責任の所在がないまま運営されていたわけです。

いまだに、そのようなビジネスモデルで運営しているメディアも少なくありません。とにかく信頼できそうな情報ソースを見極め、突き止めることが、コンテンツ制作者のすべき、情報収集の「いろは」です。

2 見えないものを見つける

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インターネットでいくら情報を集めても、限界はあります。なぜならその情報は、真偽はともかく、すでに誰かが発信した情報だからです。

「セレンディピティ」という言葉をご存じでしょうか。偶然に出会ったり、予想外のものを発見したりする能力を意味します。何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つける。ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取る能力のことです。

つまり、セレンディピティによって、探している情報に別の視点を与えることができ、見えないものを見つけることができます。すなわち、コンテンツ制作者にとっての「編集力」です。

自分の足と目と耳を駆使して情報を集めることが、新たな価値を生む唯一にして最短の道なのです。アンテナを高く張って日々を過ごすことで、セレンディピティは身に付いてくるものだと思います。

3 遠いところから見つける

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私が、「WIRED(ワイアード)」というIT系雑誌の編集に携わっていたときのことです。ワイアードは、インターネットをはじめ、これから訪れるIT社会を予見・考察するメディアです。そして、ワイアードではおもに、音楽、映画、文学、漫画、ファッションなどのエンターテインメント担当になりました。

担当になってまず、テレビを積極的に観るようにしました。テレビはエンターテインメントの王者でありながら、コンピューターやインターネットと遠い、コンテンツを発信していると思ったからです。

ワイアードの記事づくりにおいて、テレビ的な「柔らかさ」や「広さ」と、ジャーナリズム的な「硬さ」や「深さ」を融合することで、化学反応が起こると期待しました。バラエティのような柔らかいテーマをジャーナリスティックな切り口で深掘りし、IT業界の最先端をエンターテインメント性の高いストーリーに仕上げることを目指しました。

「柔」と「硬」、「広さ」と「深さ」、「デジタル」と「アナログ」という対局にある「異分子の融合」こそが、突然変異を起こし、未知のおもしろいコンテンツを生み出すと考えていたからです。ですから、大島渚、小林よしのり、筒井康隆、坂本龍一などの、日本を代表するクリエイターたちにインタビューをし、彼らがデジタルメディアに直面したとき、何を考え、どんな反応を起こしたかを探ったこともありました。デジタルという未知のメディアにふれたとき、彼らが何に困惑し、何を模索したかが知りたかったのです。

また、私は雑誌や新聞の「ベタ記事」から、ネタを拾うのが好きでした。ベタ記事とは100〜200字程度の小さな囲み記事です。ベタ記事扱いということは、そのメディアにとっては、あまり情報価値が高くないと判断されたということです。しかし、メディアが変われば情報価値も変わります。切り口が変われば情報価値も変わります。私は、日本航空の機内誌の編集をしていたころ、最低でも週に一度、図書館に通い、「TIME」「Newsweek」「National Geographic」などのベタ記事からネタを探していました。

ここでも、できるだけ遠いところから情報を探し、「異分子の融合」を期待して、あえて同じ旅行関連の雑誌から情報を探すのは避けていました。同種のネタを探しても、それは延長線上の企画になってしまうからです。

例えば、Newsweekで「売春をするアデリーペンギン」という囲み記事を見つけたとき、私はこの情報を深掘りしたくなりました。Newsweekでは特集を組むようなネタではないでしょう。しかし、ビジュアルがメインの旅行誌なら、南極の美しい風景と、そこに棲むかわいいアデリーペンギンの写真で、特集記事が組めると考えました。

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「アデリーペンギンの秘め事」と題して、あえて学術的なエッセイの体にしました。南極という、美しくもきびしい環境で、生き残りをかけてたくましく生きるアデリーペンギンを通じて、生物学者に生態系の不思議について寄稿してもらったのです。

あるいは、お気に入りの映画のワンシーンからヒントを得て、取材をすることもよくありました。

例えば、ケビン・コスナー主演の「8月のメモワール」という作品があります。ベトナム戦争によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩む家族の物語です。テーマは旅行とはまったく関係ありません。しかし、この映画では、ツリーハウスが家族にとって重要な位置付けとして登場します。ツリーハウスといえば、米国を代表する作家であるマーク・トウェインの「トム・ソーヤーの冒険」の象徴的存在となっています。

私は、ツリーハウスが米国の歴史・文化において、どんな意味を持ち、どんな役割を果たしているのか知りたくなりました。そして、ツリーハウスについて、本や雑誌でいろいろ調べ、米国でツリーハウスの建築家と宿泊できるツリーハウスを取材することにしました。これが、私にとっての新しい発見でした。

映画を観ることは、広く情報をインプットして引き出しを多くする目的。そして、ツリーハウスの歴史を深く学ぶことは、新しい切り口を探すという目的だったのです。

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日本航空の機内誌では、観光地のガイドブック的な切り口は常に避けてきました。そんな情報は、どこにでもあるからです。ですから、その国や土地の文化や人を深く知ることができるテーマを探すようにしていました。そこに、これまでに提示されなかったテーマがあり、見つかると信じていたからです。

「広く」「深く」知見を溜めて新しい切り口を探す

ソーシャルメディアやキュレーションメディアの台頭とスマートフォンの普及によって、私たちはかつてないほど多くの情報に効率良く接することができるようになりました。

私自身、以前は仕事で必要に迫られない限り接することのなかった情報に、接するようにしました。例えば女性の美容や健康、ビジネスパーソン向けの自己啓発、政治、芸能などの記事には、毎日ふれることができます。そういう意味では、広く浅く多くの情報を収集したいコンテンツ制作者にとっては、とても便利な時代です。

しかし、ソーシャルメディアやキュレーションメディアのコンテンツが情報収集の中心になってくると、コピペで作られた同じようなコンテンツや想定内のコンテンツが氾濫することになります。また、自分の興味のある情報ばかりを入手するようになってきます。すると、メディアが違っても、掲載されているコンテンツが、どこも同じという現象を生んでしまいます。

テレビのワイドショーが、毎朝どの局も同じネタを扱うのと変わらないことが起きてしまうのです。真にユーザーが求める価値のあるコンテンツを制作するためには、新しい切り口を発見するためのトレーニングが必要です。

そのためには、引き出しを増やす「広さ」と、知見を溜める「深さ」が必要なのです。

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著者紹介

成田 幸久(なりた ゆきひさ)
成田 幸久(なりた ゆきひさ) コンテンツディレクター(コンテンツマーケティング戦略支援・制作支援)

AMEX会員誌「IMPRESSION」や「ワイアード」日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか、「ギズモード・ジャパン」創刊ディレクター、セブン–イレブンとヤフーの共同事業メディア「月刊4B」編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、ウェブメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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