オウンドメディアに「エバーグリーンコンテンツ」が必要な理由〜使い捨て記事の大量生産はもうやめよう。

オウンドメディアに「エバーグリーンコンテンツ」が必要な理由〜使い捨て記事の大量生産はもうやめよう。

賞味期限の短いコンテンツと長いコンテンツの役割

コンテンツには、賞味期限の短いものと長いものがあります。いわゆる速報性が重視されるニュースは賞味期限がとても短いコンテンツの代表です。瞬発力が強く認知獲得に効果的な広告やキャンペーンも持続性に欠けるため賞味期限の短いコンテンツになります。一方、賞味期限の長いコンテンツは、エバーグリーン(常緑)コンテンツとも呼ばれます。鮮度やバズに頼らなくても、ユーザーが気になったときにいつでも読むことができる良質なコンテンツのことです。辞書やQ&Aはその典型でしょう。蓄積型でもあるためコンテンツマーケティングととても相性が良いコンテンツです。下図で示すように長期的に積み重ねていくことでじわじわと効果を発揮するのが最大の特長です。

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ただし、エバーグリーンコンテンツも、作り方を誤ると、あっという間にコンテンツファーム(Content Farm)になってしまうので注意しなければなりません。

 

コンテンツファームとは、誰の役に立っているのかわからない、質が低いコンテンツのことです。丸々コピペをしたものからステマまで、その中身はさまざまですが、最も多く見られるのは、既存のコンテンツを元に書き直した二次情報コンテンツです。

 

コンテンツファームは、うまくいっていないオウンドメディアの主な要因となっている場合が多く見られます。いま、あなたがもしクラウドソーシングなどを利用して、安価な記事を大量生産して結果が出ていないなら、コンテンツファームになっている可能性があります。情報源が不確かで、誰が書いたかわからないような二次情報を量産しているのであれば、いますぐ見直すべきでしょう。量産すれば、ある程度のPVは稼げるかもしれません。しかし、いくらPVが増えてもターゲットではないユーザー層が増えるだけでは、長期的にはほとんど意味はありません。

 

安価で大量のコンテンツ制作を仲介する一部のクラウドソーシング企業は、自社のブログでコピペがバレれないように書く方法を指南しているくらいですから、予算の少ない企業が、このようなコンテンツ制作に頼ってしまうのも致し方ないのかもしれません。

 

たとえば…

■恋の悩みを解決する10の方法

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これらのキャッチコピーを見る限り、女性にとって永遠のテーマという意味でエバーグリーンコンテンツと言えそうです。しかし、このような既視感の強いキャッチコピーや、読んでみたら期待はずれの薄い内容では、ユーザーの信頼を得てエンゲージメントを強めるのは難しいでしょう。たしかに「恋愛」「美容」「出会い」などは、女性にとって重要なテーマです。とはいえ、メディア同士がお互いにコピペしあっているような無署名のありふれた二次情報のコンテンツは、通りすがりに読まれることはあっても、ファンになってもらうことは期待できません。
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エバーグリーンコンテンツは、コンテンツマーケティングと非常に相性の良いコンテンツです。しかし、エバーグリーンコンテンツがコンテンツファーム化すると、ユーザーとエンゲージメント(関係性の強化)を築くという、コンテンツマーケティング本来の役目を果たせません。PVだけを追いかけて読み捨てされるコンテンツをやみくもに大量生産するオウンドメディアが、ユーザーに愛されることは決してないのです。

 

エバーグリーンコンテンツに欠かせない「広さ」と「深さ」と「易しさ」

では、ユーザーに愛されるエバーグリーンコンテンツとは何でしょうか? それは「広さ」と「深さ」と「易しさ」の3つの要素を満たしたコンテンツです。

 

「広さ」

「広さ」とは、市場で普遍的に求められているコンテンツの領域のことです。ユーザーの課題を解決し、欲求を満たすような明白なニーズがあることが必要です。その領域においてユーザーが興味を持っているコンテンツなので、定期的に発信する必要があります。

 

たとえば、福井県を拠点とする三和メッキ加工は、月間15万PV、毎日ほぼ10件程度の問い合わせがあるといいます(「Web Designig 2015年11月号」参照)。

三和メッキ

 

同社が、最初に手がけたコンテンツは「めっきQ&A」。最小限の労力で、かつ自社が持つノウハウを最もユーザーの役に立つ形で提供できるいということから始まりました。いまでは「めっきQ&A」だけで常時4000〜6000記事があり、情報量では競合他社を圧倒し、すべての仕事を受け切れないほどの盛況ぶりだとのこと。10年以上の歳月をかけて蓄積したエバーグリーンコンテンツが、会社経営に勢いをもたらした好例です。

 

「お客様の悩みを解決する」をコンセプトに立ち上げられた「町田美容院の知恵袋」は、店長自らが長年の経験で蓄積した毛髪理論や薬剤知識を基に髪の質問や悩みに答えるオウンドメディアです。中でも700本以上の回答を揃えた「Q&A」は、長期にわたって安定した人気を誇るコンテンツとなっています。まさにエバーグリーンコンテンツの典型例と言えるでしょう。

町田美容院

 

コンテンツ制作には当然時間とコストがかかります。「質」と「量」のバランスに悩む人も多いでしょう。しかし、いくら「広さ」を確保するために量を重視しても、Web上を漁ってコピペするだけのコンテンツファームには、価値は生まれません。ニーズに沿わない内容の薄いコンテンツを大量生産してもほとんど意味はないのです。そこで三和メッキ加工や町田美容院のように、「広さ」を担保したQ&Aコンテンツにも、専門性に裏打ちされた「深さ」が必要になってくるのです。

 

「深さ」

「深さ」とは、競合他社との違いを生み出せるコンテンツです。つまりユーザーが興味・関心を示しているものの、競合他社はその興味を満たせない、自社でしか提供できないようなコンテンツのことです。

たとえば、教育事業を展開する恵学社のオウンドメディア「STUDY HACKER」は、「学び」に関するノウハウや体験記など、さまざまなコンテンツを提供しています。広告は一切利用せず、受講生のほとんどは「STUDY HACKER」を通じて訪れるとのこと。 中でも特に人気が高い企画は、指標にしている「いいね!」が数千超えることが多いという受講生と担当トレーナーの対談記事。 入塾から大学合格までの過程や、3カ月でTOEICのスコアを400点上げたノウハウなど、7000字近いボリュームで徹底的に掘り起こして紹介。このインタビューはまさに恵学社の「生の事例」と言えます。

interview

代表取締役の岡健作氏がその手応えを語ります。

「STUDY HACKER上の記事のみで集客を行っていますので、その点では非常に貢献してくれています。実感した大きなメリットは、長い文章で読者の方に納得できるまでじっくりと読んでもらえる場(メディア)がある、ということです。一過性の広告ではここまで深く理解してもらうことは難しいですからね。また広告で認知獲得ができればすぐ来てもらえるというわけでもないので。何かしら勉強をしたいという6万人の潜在顧客(Facebookページのファン)に向けて濃い情報を提供できていることが大きいと思っています」

 

恵学社はSLA(第二言語習得研究)というメソッドを導入した独自の学習方法で急成長を遂げていますが、そのノウハウをメディアでも徹底的に「深く」訴求しているのです。

 

 

また、チーズタルト専門店として人気のBAKEが運営するオウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」もまた、量より質(深さ)を優先したメディアとして成功した好例です。高い質を維持するため、記事の配信は週に2回程度に留めています。それでも立ち上げて1年で10万PVに成長。ケーキを買う顧客に向けたBtoCではなく、BtoBメディアとしてターゲットを絞り込んでいることもあり、今後もPVではなく、質の向上と充実を最優先していくとのことです。

ベイク

 

コンテンツマーケティングにおいて最強のコンテンツは、自社の商品やサービスに紐づく専門性、独自性を備えていることです。自社が持つノウハウを反映したコンテンツや、社内の専門家による一次情報に勝る強いコンテンツはないのです。

 

「易しさ」

BtoB企業は専門家同士のビジネスゆえ、わかる人だけがわかればいい、というスタンスになりがちです。しかし、ビジネスがアウトバウンドからWebを中心としたインバウンドにシフトしつつある昨今、「易しさ」はますます重視されるようになってきています。「易しさ」は、顕在層だけでなく、広く多くの潜在層に届けるためにも欠かせません。

 

たとえば、オウンドメディアとして早くからユニークなコンテンツを展開してきた前田建設工業の「前田建設ファンタジー営業部」

前田建設

重厚で硬いイメージが強いBtoBの建設業界にあって、遊び心にあふれた前例を見ない試みは画期的でした。アニメやマンガなどの架空の建造物を実際に建設するとどうなるか、図面・見積もり・工期スケジュールなどを連載で提供。わたしたち一般ユーザーにほとんど馴染みのない建設業界の仕組みを易しいコンテンツに加工し、認知獲得とブランディングに成功しています。

 

前述の三和メッキ加工が運営するBtoC向けのオウンドメディア「必殺めっき職人」や、東海バネ工業の「ばね探訪」などは、UI(ユーザーインターフェイス)も親しみやすく、一見地味な業界の商品・サービスについて、思わず拡散したくなるような楽しく易しいコンテンツが充実しています。

めっき職人
ばね探訪

エバーグリーンコンテンツの有効活用

「広さ」と「深さ」と「易しさ」の条件を兼ね備えたエバーグリーンコンテンツを作ることは難しいでしょうか? 少なくともコスト面での障壁はさほど高くはないはずです。良質なエバーグリーンコンテンツは、お金をかければできるというわけではありません。むしろ求められるのは、コンテンツを作る情熱と知恵です。バズコンテンツは、専門のプロに頼まないとなかなか簡単に作れるものではないですし、仮にバズらせることに成功しても、必ず顧客育成に繋がるとは限らないので、費用対効果はあまり高くないと考えてよいでしょう。

 

エバーグリーンコンテンツには再利用が可能という大きなメリットもあります。特にユーザーから高い支持を得たコンテンツは、時期やチャネルを変えることで、改めて蘇えらせることができます。キャッチコピーを変えてFacebookで再投稿したり、ブログではあまり読まれなかった記事がSlideShareにしたらバイラルする、という現象もよく起きます。

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エバーグリーンコンテンツを生かすには、今回紹介した事例のように、まずオリジナルであることが最低条件になります。「そんなオリジナルコンテンツなんて簡単に作れない」と思われるかもしれませんが、どんな企業にも必ずオリジナルの素材は埋もれています。あとはそれをどのように見つけ、どのように演出するかだけなのです。「広さ」と「深さ」と「易しさ」は、その演出方法にすぎないのです。

 

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著者紹介

成田 幸久(なりた ゆきひさ)
成田 幸久(なりた ゆきひさ) コンテンツディレクター(コンテンツマーケティング戦略支援・制作支援)

AMEX会員誌『IMPRESSION』、『ワイアード』日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか『ギズモード・ジャパン』創刊ディレクター、セブンイレブンとヤフーの共同事業メディア『月刊4B』編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、Webメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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