多くの人に読まれる「文章」と「時間」の黄金律

多くの人に読まれる「文章」と「時間」の黄金律

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今やニュースはもちろん、小説も漫画も映画もドラマもスマホで楽しむ時代。情報洪水の中、ユーザーは、できるだけ短い時間で効率良く、おもしろいコンテンツだけを読みたいと考えます。そのため、ウェブメディアは、電車のつり革広告のように、ひと目で注意を惹くタイトルをつけたり、コンテンツを作ったりしなければなりません。

今回は、できるだけ多くの人の注意を惹き、コンテンツにふれてもらうために欠かせない「文章と時間の黄金律」についてご紹介します。

記事タイトルは13字以内?32字以内?

Yahoo! JAPANのニュース記事のタイトルが、13.5字(半角は0.5字)以内なのはご存じの方も多いと思います。これは一べつして内容が認識できる文字数だとのことです。文章は、短ければ短いほど簡潔でわかりやすい一方、これより文字数が短いと、さすがにタイトルを作るのが難しくなり、内容も伝えにくくなります。

しかし、近年のニュースメディアのタイトルは、30字前後が主流となっています。これは、Googleの検索結果表示がPCでは32字、スマホでは40字となっているため、その範囲内でのタイトルが最適とされているからです(2018年11月現在)。ただ、あえて32文字以上にして、「…」の後はクリックしてのお楽しみ、というテクニックもあります。

検索結果にどう表示されるのかを考えることは大切ですが、SNSを通じてより多くの人に知ってもらうことも忘れてはいけません。SNSでシェアされた際のタイトルは、htmlで記述する「og:title」で指定することができます(記述しなければ通常のタイトルでシェアされます)。

このタイトルは、多少長くても、タイムラインでどんな内容か、直感的に把握できるタイトルがいいでしょう。具体的な数字や興味を惹く問いかけなど、クリックしたくなるタイトルが理想です。

SNSに投稿したときに「おや?まあ!へぇ~」「読んでみよう」「友達に教えたい」と思わせるタイトルづくりを心掛けましょう。

人は60字を超えるとつまずく

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人間の集中力は、金魚よりも少なく、8秒しか維持できないそうです。ですから、多くの人に読まれるためには、8秒以内に理解できる内容にしなければなりません。 8秒あれば、人は平均で70~80字くらいは読めます。そう考えると、最初の一文や最初の一段落が勝負になります。8秒ごとに次の文章に進んでもらう意識で、文と文をつなげていく必要があるのです。

かといって、一文80字の文章が延々と連なると、集中力は続きません。

以下の文章を読んでみてください。 この例文は、サッカーの本田圭佑選手が、さまざまな肩書を持っていることを受けての文章です。

<例文1>
    今はまったく異なるタスクをこなすことができる人間が、ひとつのことに縛られる、縛らせる時代ではないことを考えると、本田圭佑という存在は、日本にある不要な古き伝統や組織という概念を打ち破って、未来のサッカー選手のために新しい道を切り開いているのかもしれない。 (127字)

かなり読みづらいですね。一文が100字を超えています。二度読みしてしまいます。というより、これではすぐ離脱されてしまうでしょう。

では、こちらの文章はどうでしょうか。

<例文2>
    今はまったく異なるタスクをこなすことができる人間が、ひとつのことに縛られる時代ではない。本田圭佑という存在は、日本にある不要な古き伝統や組織という概念を打ち破って、未来のサッカー選手のために新しい道を切り開いているのかもしれない。 (44字+71字)

2つの文に分けてみました。ちょっと読みやすくなりましたが、後半はまだ読みづらいです。

では、さらに短く分けてみます。

<例文3>
    今はまったく異なるタスクをこなす人間が、ひとつのことに縛られる時代ではない。本田圭佑という存在は、日本にある不要な古き伝統や組織という概念を打ち破る。そして、未来のサッカー選手のために新しい道を切り開いているのかもしれない。 (38字+37字+37字)

ほぼ、つまずかずに読めるようになりました。このように、一文は短くすれば短くするほど、頭にすっと入りやすくなります。60字以内を目安にするといいでしょう。

でも、私だったら以下のようにします。

<例文4>
    今はひとつの仕事に縛られる時代ではない。本田圭佑は、みずから日本の古き慣習や常識を打ち破ることで、サッカー選手の未来を切り開いている。 (20字+47字)

ほぼ半分の文字量になりました。単に一文ずつを短くするだけではなく、全体の意味をできるだけわかりやすく、論旨を明確にしています。

一文80字は長いですが、読めなくはありません。しかし、集中力を切らさないで読んでもらうためには、単調にならないようなリズム感も必要です。13~60字くらいの範囲でメリハリをつけて文章をつなげていくことをおすすめします。 タイトルは最大30字(3秒)刻み、本文は最大60字(6秒)刻み。この数字は常に意識しておきたいです。

「ざっくり1分」「たっぷり3分」「じっくり10分」と、目的に応じて棲み分ける

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コンテンツの内容や個人差はありますが、人が文字を読むスピードは1分間で500~600字くらいです。

スマホ時代になって、Yahoo! JAPAN、NewsPicks、SmartNews、朝日新聞デジタルなど、毎日習慣的に読まれるようなニュースメディアは、ほぼ500~600字、つまり1分でつまみ読みされる記事が主流になっています。つまり、60秒でどれだけ多くの記事を読んでもらうかが勝負になっているのです。

ニュース系以外のウェブメディアでは2,000~5,000字の記事が多く見られますが、これには理由があります。

まずは、SEOです。記事の文字数が多いほうが、検索ロボットに拾われやすいという事情があるためです。また、ニュース性よりも、オピニオン色やコラム色を強くしていくと、500~600字では、内容の深い記事が作りづらいこともあります。

かつて、SEOを考慮して、1記事10,000字以上の記事が量産されていた時代がありました。しかし、検索エンジンの性能も上がり、キーワード出現率や文字数より、品質が評価されるようになってきているため、SEOにおける効果は薄くなっています。ですから、いたずらに文字数にとらわれる必要はありません。

メディアも今は、目的に応じて、1分で読める500~600字の「ざっくりコンテンツ」、3分で読める1,500~1,800字の「たっぷりコンテンツ」、5~10分で読める2,500~5,000字の「じっくりコンテンツ」の3パターンに棲み分けをする傾向があります。

それは、アクセス数という指標だけではなく、ユーザーの「質」や「属性」も重視されてきているからです。例えば、かわいい猫の1分の「ざっくりコンテンツ」を10本読むユーザーと、猫の病気に関する深い「じっくりコンテンツ」を10分かけて読むユーザーがいたとします。2人のユーザーは、属性も興味の対象も異なる可能性が高いです。

ウルトラマンはなぜ3分しか戦えないのか

最近のウェブメディアでは、テキストコンテンツだけでなく、動画コンテンツも増えてきています。

動画コンテンツの場合、その尺は3分以内が適切とされています。昔から日常生活の中で、3分という時間は、ひとつの区切りの目安でした。

例えばウルトラマン。ウルトラマンは地球で戦える時間は3分です。子供たちは、その時間の中で戦わなければいけない緊張感にドキドキします。しかし、ウルトラマンに限らず、戦闘ヒーローの多くは3分しか戦いません。なぜなら、それ以上戦っても、視聴者が飽きてくるからです。

ウルトラマンは約24分の番組です。 その時間枠の構成をおおざっぱに分けると、以下のような流れになります。

  • 事件発生(3分)
  • 原因究明(3分)
  • 怪獣暴れる(3分)
  • 科学特捜隊出動(3分)
  • 一件落着(3分)
  • 再び怪獣暴れる(3分)
  • ウルトラマンとの戦い(3分)
  • 解決(3分)

飽きやすい子供のために、ほぼ3分刻みでシーンを変えていきます。例えば、この中で戦うシーンが3分以上続くと、子供は確実に飽きてしまいます。人は、3分という時間に慣れているのです。

bored family fell a sitting on sofa at home

テレビCMとは違うアプローチができるウェブCM

SNSの浸透によって、企業は拡散を狙った長尺のウェブCMを作ることも可能になりました。ウェブCMの尺は、テレビCMと差別化を図るため、ストーリー性のある3分が主流となっています。反対に、15秒や30秒のCMはイメージ訴求になりがちで、むしろストーリーを展開することは苦手です。ゆえに、テレビCMとは違ったアプローチで、CMコンテンツを作る動きが出てきているのです。

近年の、バズったCMを見てみましょう。どれも1~3分程度の尺です。


JKのLINEあるある(LINE株式会社) 05

このCMは3分41秒とかなり長めですが、ハイクオリティのコンテンツゆえに、十分最後まで見せる力があります。まるで、4分の制限時間で漫才を競う「M-1グランプリ」のように、ボケとツッコミを交互に織り交ぜた、退屈させないコンテンツになっています。


伝説のOL 五秒霧子(株式会社資生堂) 06

このCMは1分21秒。テレビでは難しい長尺をウェブメディア用に制作していますが、やはりストーリー性が高く、最後まで観たくなる吸引力を持っています。YouTubeでは、コンテンツ力の高いCM動画に別のCMがつくという現象も当たり前になっているように、広告は受動的に見せられる“邪魔者”から、能動的に見るコンテンツになりつつあります。


Amazonプライム(アマゾンジャパン合同会社) 07

1分の尺ですがセリフは一切ありません。映像と音楽だけで心を動かす、上質なストーリーに仕上がっています。


料亭の味(マルコメ株式会社) 08

商品ごとに、30秒と90秒の2バージョンのアニメで展開。ほろりとくる家族愛をテーマにしたショートストーリーです。30秒でもストーリー展開は十分わかりますが、やはりはしょった感は否めません。90秒だからこそ、感動が伝えられている典型的なCMです。

短くすることにこだわるより、内容に合った尺を

現在、動画コンテンツはSNSで投稿できますが、アップロードできる動画の最大の尺は、YouTubeは12時間、Facebookは2時間。Instagramは60秒、Twitterは140秒です。YouTubeやFacebookは長尺の動画もアップできますが、人気の高い動画の尺は、ほとんどが1~3分です。

ちなみに、2017年に終了となりましたが、Vineという6秒動画をアップするアプリがありました。6秒ならではの斬新な作品も多くありましたが、6秒という制約は、制作のハードルが高すぎたのかもしれません。

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長期的にファンを獲得していくためには、数秒の瞬間芸よりも、やはりストーリー性を持ったコンテンツのほうが向いています。そういう意味では、動画コンテンツも短ければいいというわけではありません。ストーリー性を重視するなら、現在は60~90秒が適切でしょう。3分になる場合は、広告という枠を超えた、ストーリー性の高いコンテンツにしないと、なかなか観てもらえません。 まずはコンテンツありきですので、そのコンテンツに最適な尺を考えるべきでしょう。

コンテンツ企画は15分単位で

企画会議をする場合、1回でどのくらいの時間を取りますか?1時間でしょうか。2時間でしょうか。 人間には、90分刻みの体内リズムがあるそうです。その90分もギリギリの限界で、集中力が続くのはせいぜい15分くらいとのこと。

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ドラマなら45~60分、学校の授業なら45~90分、企画会議なら60~90分。スポーツ観戦も40~90分が主流です。ただ、90分でも区切りなしに続くと、すぐに落ち着きがなくなったり、眠くなったりします。集中力が切れたり飽きたりしないためには、90分の中でも15分単位で刻んで、メリハリをつける必要があります。

本や映画など、90分を超える場合は、大抵15分刻みで場面転換や区切りが入ります。最近の書籍は、だいたい180分程度(90,000字程度)で読めるものが多いのですが、これも、15分(7,500字)刻みで章を分割していたりします。

ハリウッド映画では、よくストーリーを12段階に簡素化してまとめた「ヒーローの旅」という構成が使われています。例えば120分の映画なら、平均10分ごとに場面が転換されます。 下図は、その「ヒーローの旅」を円グラフにまとめた「ヒーローホイール」と呼ばれるもので、頂点の(1)から時計回りに(12)まで進む「旅の行程」を表しています。

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※ヒーローの旅、ヒーローホイールについてより詳しく知りたい方は、「どんなコンテンツを作っても、ストーリーがなければ心は動かされない」をご覧ください。

企画会議も、60分なら15分×4ラウンドという構成でやると、集中力を切らさないで会議ができるでしょう。例えば、「What」→「Why」→「How」と、3つの疑問を15分刻みで提示していくことで、集中力を保つようにします。アイディア会議などであれば、3分刻みで各自が発言していくようなリレー形式もいいかもしれません。緊張感が続き、飽きることなく続けられます。

今や、情報氾濫の時代です。いかに注意を引き、目にとめてもらって、コンテンツを見てもらうか。限られた時間を、いかに最小限で効率的に割いてもらうか。 その課題に応えていくためには、これまでにご紹介した最小限の尺を強く意識し、時間と戦い続けなければならないのです。

 

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著者紹介

成田 幸久(なりた ゆきひさ)
成田 幸久(なりた ゆきひさ) コンテンツディレクター(コンテンツマーケティング戦略支援・制作支援)

AMEX会員誌「IMPRESSION」や「ワイアード」日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか、「ギズモード・ジャパン」創刊ディレクター、セブン–イレブンとヤフーの共同事業メディア「月刊4B」編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、ウェブメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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