対面式ユーザテストとリモートユーザテストの使い分けについて、パートナー企業のポップインサイト様の取材を受けました。 弊社がユーザテスト(行動観察調査)を行うようになったきっかけや、ユーザビリティとは別領域であるSEOのコンサルティングとの併用などについても語っています。
ナイル株式会社 大谷様
当社の「Appliv」というメディアで、ユーザテストを繰り返してサービスを改善していたことがきっかけです。 Applivがリリースされた2012年当時、Webコンサルティング事業はSEOを中心とした集客支援を軸にソリューション提供していました。一方、インターネットメディア事業では、メディアサービスの改善を行うために、アクセス解析やユーザテストの実施に力を入れており、翌年の2013年には数度のリニューアルを重ねてCVRの大幅な改善を実現していました。 SEOコンサルティングで成果を出す一方、クライアント企業様からSEOだけでなく総合的な支援や提案を行って欲しいと期待されることが増えていた私たちは、自社のメディアサービスで実施している施策をコンサルティングで提供することに決めました。それが、現在のユーザテストサービスやアクセス解析コンサルティングの始まりです。 当社は現在のオフィスに2013年10月に移転しましたが、その際にアイトラッキングも可能なテストルームやモニタルームを併設し、自社はもちろんクライアント企業様のWebサイトでも、ユーザテストを本格的に実施できる環境を用意しました。 現在では、定性調査と定量調査を併用してクライアント企業様のWeb運用を支援することが当たり前になりつつあり、事例も公開できるフェーズに入ったことで、今年の6月に公開した「UIDEAL」という媒体で、ユーザテストの事例やアクセス解析のノウハウなども公開し始めています。
Googleペナルティによる影響が広がった時代を経て、外部リンク対策中心のSEOから、コンテンツの充実やユーザからのリンク獲得を重視する本質的なSEOへ、各社の意識が変わってきましたが、ApplivのSEO事例を公開したり、色々なテーマで勉強会を実施している当社へは、サイトリニューアルに伴うSEOの設計や運用支援に関する紹介や相談が多く舞い込みます。 リニューアルのタイミングでユーザ調査と分析をしっかり行い反映させれば、SEOに限らずユーザにとって使いやすいサイトにすることが出来ますので、スケジュールや予算が許すのであれば、アクセス解析とユーザテストを行い、設計や運用の施策に反映させるようにしています。 そもそもSEO設計をしっかり行なうためには、サイト構造やUX設計などを検討する上流フェーズから関わることが重要です。上流が決まってしまった後にSEO設計だけご相談されても、重要な意思決定が終わった後であることが多いため、肝心な施策を見送らざるを得ないことがあります。ある意味、予算やスケジュールもその要素の一つです。 また各設計の段階で、それぞれ別の専門会社が任されるケースが多く、「まずUX設計フェーズがあり、次のSEO設計フェーズ」と役割やスケジュールが別々に設定されてしまうことがあります。 当社としては、SEO設計とUX設計を同時に提供できる存在を目指し、スケジューリングや予算繰りも含めて、顧客にとって価値の高いコンサルティングを提供したいと考えています。
当社にテスト環境を設けた当時は、リモートユーザテストの選択肢は特に考えていませんでした(笑)。メディア運営も行っている当社の文化としては、被検者にご来社頂いて実施する対面のユーザテストが基本となっています。 一方で、対面型は人的リソースやスケジュールをそれなりに必要とすることはやはり否めません。それが費用に転換されますし、工期も長引くので、どんな企業様でも、どんなフェーズでも積極的に活用してくださいとは言いがたいのが実情です。 ですので、当社ではプロジェクトの規模やスケジュール、予算などに応じて、対面とリモートを使い分けるようにしています。特に予算がない場合は、コストが非常に安くすむリモートテストを推奨しています。リモートの場合、被験者属性の柔軟性が低いことや、直接ヒアリングができないというデメリットなどがありますが、「何もしない」よりは遥かに良いです。簡易調査とはいえ、それなりの発見が得られますしね。 また、対面で行う場合にも、テスト設計前の簡易的な一次調査として、予めリモートユーザテストを実施することもあります。リモートユーザテストのメリットは、とにかく早く安く実施できることです。依頼内容はテスト前に全て固めておく必要があるので、行動観察を通した柔軟な変更や質問などはできませんが、手軽軸の施策としては非常に有用で使い勝手が良いです。 ちなみに、当社のプロジェクトはSEOの改善が組み込まれていることが多いので、「SEOに強くなった後のシナリオ」の課題調査も行います。企業名やブランド名での流入ではなく、「賃貸 東京 2LDK」などの流入獲得を狙っているキーワードで上位表示された場合、ランディングページへの流入からその後の行動がどうなるのか、見直しの余地はないのかなどの調査ですね。 SEOの設計指示とユーザビリティの改善指示を一つの指示書にまとめられると、サイト改修の二度手間を減らすことができるので、可能な範囲で併せて改善施策を出せるように取り組んでいます。 また運用フェーズの場合は、どっしりした調査よりは、スピード優先で細かな検証を繰り返した方が早く改善できるので、リモートを活用することが多いです。SEOの細かなチューニングと合わせて、リモートユーザテストでUX/UI設計の課題も修正し、集客とCVRの両面から改善する運用スキームを構築しています。 引用:「「ユーザテストの大変さ」を解消する革命的なツール」
※本取材記事は、2015年9月のものです。