
フードポルノ(foodporn)とは
フードポルノとは、食欲をそそるような写真や動画をSNSなどにアップし、人々の食欲を強制的に引きつけることを指します。SNSとスマホの普及に伴い、レストランなどで料理や食事の写真を撮って、それをネット上に公開することが非常に増えました。見ると思わず食欲がかき立てられることから、”ポルノ”という言葉がつけられています。日本では「飯テロ」という言葉も同様の意味で使われています。SNS上でも「#飯テロ」「#foodporn」とタグ付けられた写真が多く投稿されています。
フードポルノに関連したグルメメディア
現在、食に関連したメディアが人気となっています。 その一例が、動画メディアの「Tasty」です。
Tastyでは料理のレシピがショートムービーで紹介されています。食欲をそそる料理写真はまさにフードポルノであり、また1分程の動画でわかりやすくレシピと手順が見られるお手軽さが人気を呼んでいます。2017年5月12日現在で、「Tasty」のFacebookページは8500万ものいいねが押されています。
また、RETRIPやmecicolle、macaroniなど、レストラン等の情報を料理の写真と共に紹介しているメディアも増加しています。フードポルノ的なバズ要素はメディアのソーシャル露出の大きな武器となっています。
フードポルノに関する議論
否定的な意見
マナーの悪さ
賛否両論がありますが、レストランで料理の写真を撮ることがマナー違反だという意見も多いです。食事中にカメラのシャッター音が何回も鳴り響くことを不快に思う声や、食事は温かいうちに食べてほしいというお店側の声もあり、周りへの配慮が必要だと言われています。
知的財産権の侵害
料理の写真を撮ってSNS等にアップすることはお店の宣伝になると歓迎する人もいる一方、知的財産権の侵害だとして批判する人もいます。実際に『ミシュラン』に載るような高級なレストランなどはこの問題を阻止するため、写真撮影を禁止したお店もあります。 料理の写真を撮りSNS等にアップすることが裁判所で違法とされる可能性は低いですが、トラブルを防ぐためも、お店側は事前に写真撮影禁止を掲げておくことが必要だと指摘する弁護士もいます。(参考:https://www.bengo4.com/houmu/17/n_1272/)ただ美味しそうな料理の写真を撮ることも、料理を一種の芸術作品とみなしている人からすると問題視されているようです。
肥満になる
フードポルノとなる写真は高カロリーの物が多く、人々の食欲をかき立てる作用があるので、必要以上な食事の摂取を招き肥満の原因となるとも言われています。トロント大学の精神病医学者ヴァレリー・テイラー博士も、肥満に関する学会でフードポルノが肥満につながると発表しています。(参考:http://www.j-cast.com/2013/05/18174895.html)
肯定的な意見
レストランの宣伝になる
レストランを探すとき、多くの人は食べログの口コミや、twitterやinstagramに載っている写真を参考にするようになりました。かつてはテレビや雑誌でしか宣伝をすることができませんでしたが、最近ではネットの普及で手軽に安い値段で宣伝することができるようになりました。この状況を歓迎し、食べ物の写真を撮りSNSに投稿する風潮を歓迎する声もあります。
まとめ
賛否両論がありますが、フードポルノは多くの人を魅了し、ビジネスにも活用されています。TastyのようなSNS上で完結しているメディアを「分散型メディア」を呼びますが、こうしたメディアでは 直感的に反応を誘うフードポルノを活用したコンテンツは非常に相性が良いと考えられます。
海外版の食べログとも言えるYelpも、フードポルノを全面に押し出したキャンペーンを実施しています。「Yelp Food Porn Festival」は、Yelp上に美味しそうな写真を投稿させ、それをコンテスト形式でジャッジするユーザー参加型のイベントです。このイベントは日本だけでなく、オーストラリアやメキシコ、アルゼンチンでも開催されています。
マナー等の観点から賛否両論があるフードポルノですが、企業によっては戦略的に活用することを考えてみるとよいでしょう。