
ABテストとは
ウェブマーケティング施策のひとつに「ABテスト」があります。ABテストによって、効率的なコンバージョン獲得やクリック率の向上につながりますので、ポイントを押さえて行うことが大切です。 ここでは、ABテストのメリットやABテストを実施する対象、そしてABテストを成功させるためのポイントについてご紹介します。
ABテストの目的
ウェブサイトや広告バナーなどを対象に行うABテストの目的は、「CVR(コンバージョン率)」と「CTR(クリック率)」を向上させることです。 例えば、画像の違う広告バナーを、AパターンとBパターンの2つ用意し、それぞれ同数のユーザーに表示させます。その結果、どちらのパターンのCVRやCTRが高かったのかを検証するというものです。
この検証結果を踏まえて、より効果の高いパターンを実際に広告バナーとして反映させたり、さらに改善するためにまた別のABテストを行ったりします。
ABテストは必ずしも2パターンだけで行うわけではなく、必要に応じて3パターンや4パターンで検証することができます。
ABテストを行うメリット
ABテストを実施することによるメリットを見ていきましょう。
改善点が明確になる
ABテストを一定期間繰り返していくと、どのパターンがCVRとCTRアップにつながっているのかがわかるようになります。検証結果によって、サイトや広告の改善点が明確になり、効率的にコンテンツを作成することにも役立ちます。
予算も工数も少なく済む
ABテストは、広告と比べて非常に低いコストで導入することができます。広告は費用をかけるほど流入ユーザーの増加につながりますが、上手にABテストを取り入れることによって、低予算でCVRとCTRの向上を実現させることができるのです。
また、ABテストはウェブサイトや広告内の小さな部分を改修する検証であるため、工数も少なく済みます。また、簡単にABテストを実施できるツールも登場しており、手軽に検証しやすくなっています。
ABテストを行う際の注意点
ABテストは比較検証であるため、ある程度のデータが取得できるユーザー数が必要なことを把握しておきましょう。どちらのパターンが効果的かを知るためには、一定数のユーザーがAパターン・Bパターンにふれる必要があるのです。
成果を判断できるユーザー数の目安としては、「100ユーザー」は必要といわれています。計測地点の設定によって変わってきますが、PV数が「2,000以下」では、検証にもそれなりの時間がかかるため、注意が必要です。
ABテストの対象
ABテストを実施する対象としては、ウェブサイトやアプリが代表的です。また、LP(ランディングページ)やバナー、広告文などでも実施されています。
・ウェブサイトウェブサイトのトップページでABテストを行う場合は、ファーストビュー画像やメインコピー、フォーム画面などを比較検証します。トップページのこういった部分を改善することで、サイト訪問者のアクション、つまりCVRの向上にも大きな影響を与えます。
・アプリアプリのABテストは、アプリストアページとアプリ内の2ヵ所で実施されます。 アプリストアを改善することで、より多くのユーザーにアプリをインストールしてもらったり、ランキング上位に表示させたりすることにつながります。
もちろん、アプリ内でも比較検証を行い、ユーザーに快適にアプリを使ってもらうことやCVRの向上を狙います。
・LP(ランディングページ)SNSやリスティング広告などからLPにたどり着いたユーザーが、最初に目にするLPのレイアウトや第一印象は重要です。ABテストによって構成や画像を比較検証し、CVRの向上を図ります。
・バナー広告バナーをじっくりと見てクリックするユーザーは少なく、「なんとなくクリックしてみた」「印象的なコピーに惹かれたから」といった、一瞬の判断によってバナーはクリックされるものです。そのため、広告配信側はABテストを行い、よりユーザーのクリック率が高い「勝ちパターン」のバナー広告を作成していきます。
ABテストを成功させる4つのポイント
ここからは、ABテストを効率的に行い、成功率を上げるための4つのポイントを見ていきましょう。
1 目的を明確にする
いずれのABテストも、最終的な目的はCVRの向上であるといえるでしょう。しかし、ABテストによる小さな改善それぞれが、サイト全体のCVRアップにすぐにつながるというわけではありません。
そのため、下記のように、それぞれの比較検証においてより具体的な目的を設定し、検証結果を分析していくことが大切です。
・どちらのパターンが、サイトの離脱を防止できるのかを知る
・バナーのクリック率を上げるパターンを知る
2 ABテストを実施するタイミングも重要
ABテストは、いつでも実施すれば効果が得られるというわけではありません。特に、次の3つの課題を抱えているときにABテストを行うことで、ウェブサイトや広告などの改善が見込めるといわれています。
・LPからの訪問者の離脱率が高い
・ファーストビューに画像やボタン、メインコピーなど複数の要素がある
・集客率アップのためにもページの改善が課題となっている
3 仮説を立てる
ABテストを実施するとなると、さまざまなパターンを検証してみたくなるものです。しかし、複数のパターンを用意する場合は、必ずそれぞれに「このパターンは◯◯という理由で改善につながるかもしれない」「ユーザーにはこういう心理があるから、このパターンを試してみよう」という仮説を立てることが大切です。
仮説を立てずにやみくもに検証を続けても、かえってCVRを下げかねないため注意しましょう。
4 比較箇所は1つのテストにつき1ヵ所
1つのABテストにつき、比較する箇所は1つだけにしぼるようにしましょう。同時に複数の比較箇所を用意すると、成果が出てもその理由を分析しにくくなってしまうためです。
ポイントを押さえてABテストを始めましょう
ABテストは、気軽に始めやすいサイトの改善施策のひとつです。
しかるべきタイミングで、きちんと目的や仮説を立ててから実施することで、予算や工数を抑えてウェブサイトや広告の改善をしていくことができるでしょう。