
インタビュー記事の書き方と取材のコツ
独自の取材に基づくインタビュー記事は、人物や企業に関心を持ってもらうために、とても有効なコンテンツです。ここでは、読者を惹き付けるインタビュー記事の書き方についてご紹介します。
目次
インタビュー記事とは?
インタビュー記事とは、ある人物への取材を通して、人物像や企業理念などを文章化したものです。インタビュイー(インタビューを受ける人、語り手)の伝えたいメッセージを読者に届けるために、最適なコンテンツとなります。
同じインタビューを行ったとしても、まとめる人によって記事はまったく異ったものになります。聞いた話の内容をそのまま文字にするのではなく、構成や表現方法を工夫することで、読者に興味を持って読んでもらうことができます。そのためには、どんな人に、どんな目的で、どんな内容を伝えたいかを、はっきりさせることが大切です。
インタビュー記事の形式
一口にインタビュー記事といっても、その形式はいくつもあります。目的によって最適な形式を選びましょう。
Q&A形式
最も一般的なのが、質問と回答で構成される「Q&A形式」です。質疑応答、一問一答の形式には、要点がわかりやすいというメリットがあります。
また、長い記事の場合に読みやすいスタイルです。その場の空気や臨場感を再現することを心掛け、実際の会話のように多少くだけた雰囲気に仕上げることで、親しみやすい記事にすることができます。
モノローグ形式(一人称)
インタビュイーが実際に語っているようにまとめるのが「モノローグ形式」です。インタビュアー(インタビューをする人、聞き手)の存在を消し、本人になりきって文章化します。語り手のメッセージが伝わりやすく、言葉遣いなどをうまく活かすことでインタビュイーの人柄を表現することができます。
モノローグ形式は、エッセイやコラムのように、親近感のある印象を与えることに適しています。ただし、会話体のみで構成するため、冗長にならないよう気を付ける必要があります。短めの記事の場合に効果的といえるでしょう。
ルポ形式(三人称)
インタビュアーが第三者の立場から客観的にまとめるのが「ルポ形式」です。インタビュイーの語った言葉を、カギ括弧等でくくってコメントとして挿入します。ルポ形式は、論理的で情報量の多い記事にすることができます。
また、インタビュイーの表情や仕草など、会話以外の情報を盛り込めるのも大きな特徴です。ただし、堅苦しい内容になりやすいので、バランスをとることが必要です。ルポ形式は、書き手の能力が問われますが、工夫次第で読者の関心を集めることができます。
インタビューの準備と方法
インタビューの事前準備と、インタビューの方法について確認していきましょう。
事前の準備
事前の準備として、まずはインタビューの目的をはっきりさせておきましょう。目的に添って、あらかじめ質問項目を挙げていきます。どんな人にどんな内容を伝えたいのかを考え、質問項目は多めに用意します。
そのために、取材相手の情報をインプットする必要がありますので、著作やブログにはできるだけ目を通しておきます。相手のことを知っていれば、話題を広げやすくなりますし、「あなたに興味を持っています」というアピールになります。関心を持っているという姿勢は、相手の心を開くことにつながるでしょう。
インタビューの方法
実際のインタビューでは、一問一答で終わらせない工夫が必要です。相手の言葉を受け、具体的な例を挙げてもらったり、疑問が浮かんだら説明を求めたりします。
また、多少の脱線も時には必要かもしれません。そこに、インタビュイーの言いたいことが込められている場合があるからです。用意した質問だけで終わらせず、臨機応変に会話をつなげることができれば、広がりのあるインタビュー記事にすることができます。
インタビュー記事の作り方
インタビューが終われば、いよいよ記事を作る作業となります。ここでは、どのようにインタビュー記事を作っていけばいいのか、その流れを見ていきましょう。
1. 文字起こし
インタビューは、記憶やメモに頼らず、ICレコーダーなどに音声を録音しておくのが望ましいでしょう。
インタビュー後、まずは音声データをすべて書き起こします。文字起こしは、記憶の新しいうちに行うのが良いでしょう。その場の雰囲気を思い出しながら、キーワードとなる言葉やフレーズに留意して、振り返るようにします。
2. 記事の流れを組み立てる
意図が誤って伝わらないように気を付ければ、話の順序や細かな表現は変えても構いません。むしろ、印象に残る構成に組み立てることが大切です。例えば、失敗談を入り口にしたら、それをどう乗り越えたか、そしてどんな成功を収めたのか、ストーリー性を持たせることで読者の興味を引くことができます。
3. 話し言葉をわかりやすくする
話し言葉と書き言葉は違います。実際の会話では省略されることも多く、書き起こしたそのままでは記事になりません。実際の会話では、主語と述語が一致しないこともしばしばあります。冗長にならないよう適宜まとめる必要があり、読者のために説明的な言葉を補う必要があります。
4. 取材での情報について裏取り
インタビュイーは、記憶を頼りに、あるいは思い付きで語ることがあります。特に、数字や日付などのデータには注意が必要です。事実と異なる場合には修正します。
5. 人柄が出るようにする
インタビュー記事では、インタビュイーの特徴や“らしさ”を盛り込みたいところです。バックボーン(背景)や経歴にふれることも有効でしょう。インタビュイーの人柄にふれることで、やわらかい印象になり、読者に親しみを持って読んでもらうことができます。
6. 推敲
インタビュー記事は、読みやすさを心掛け、執筆後に推敲を重ねます。文章が長い場合には段落を分け、見出しをつけるなどの工夫が必要です。また、専門用語や業界用語は、当事者が理解できても読者に伝わらないことがありますので、一般的な言葉に置き換えたり補足したりする必要があります。
7. 校正・校閲
原稿の完成後は、校正・校閲を行います。校正とは、誤字・脱字のチェックや、漢字の使い方などの表記を統一する作業になります。校閲とは、書かれた内容に矛盾はないか、表現の誤りや事実関係の誤認がないかなど、さらに踏み込んでチェックすることをいいます。必要な場合には、インタビュイーに原稿を確認してもらいます。
インタビュー記事の目的を明確にする
インタビュー記事は、伝えたいメッセージを印象的に読者に届けることができます。そのためには目的をはっきりさせることが大切で、どんな人にどんな内容を伝えたいかによって、記事の形式や構成を考える必要があります。
また、インタビュー記事に有益な情報を盛り込めるかどうかは、事前準備が大切です。取材申請を行ったり質問内容を考えたりするなど、時間はかかりますが、粘り強く進めてください。
ご紹介したポイントを押さえながら、読者の心に響くインタビュー記事に仕上げていきましょう。