Meiji.net(明治大学) vs Kindai Picks(近畿大学)【オウンドメディア一本勝負!第4回】

Meiji.net(明治大学) vs Kindai Picks(近畿大学)【オウンドメディア一本勝負!第4回】

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成功するオウンドメディアと失敗するオウンドメディアの違いは何なのでしょうか。私たちは、何を基準にオウンドメディアを運営していけば良いのでしょうか。
「オウンドメディア一本勝負!」では、業界の気になるオウンドメディアを5つの指標で比較・検証し、その答えを探っていきます。

第4回は、常に志願者数でトップを争う、明治大学の「Meiji.net」と近畿大学の「Kindai Picks」。
「Meiji.net」は2013年7月から運営されており、ニュースメディアを思わせるハイクオリティと情報量の多さが特徴です。
「Kindai Picks」は、2015年10月にオープン。「キュレーションサイトを大学独自で運営することは珍しく、大学の情報発信の在り方を考える上で、新たなチャレンジ」と立ち上げ時にうたっているように、内外問わずさまざまな情報が満載です。

「オウンドメディア一本勝負!」では、次に挙げる5つの指標において、それぞれのメディアを採点していきます。

<5つの指標>

【1】ブランディング
企業に対する共感や信頼を通じて価値を高められているか。

【2】おや?まあ!へぇ~
疑問や好奇心を抱かせ、驚きや発見を与え、納得してもらえているか。

【3】ソートリーダーシップ
未来を見据えた革新的な提案によって、業界を主導できているか。

【4】解決策の提示
ユーザーが抱える課題や悩み、欲求を満たす提案ができているか。

【5】ストーリー性
心を動かし、記憶に残し、態度変容を促すストーリーが提供できているか。

【1】ブランディング

明治大学は、六大学野球やMARCHのひとつとして知られる、文武両道の名門大学。近畿大学は、マグロ養殖の広告を出したり、キャンパス内に英語村を作ったり、吉本興業との包括連携協定を結んだりと、話題に事欠かない大学です。両大学ともに、学生数は3万人を超える人気のマンモス大学。

「Meiji.net」は、質の高いジャーナリズムメディアともいえ、下手な商業メディアより高品質なコンテンツを配信し続けています。安易に2次情報を量産する商業メディアが多い中、「Meiji.net」は大学の教授陣がみずから専門分野について寄稿しているのが最大の強みです。「知の共同体」である大学が運営するからこその質の高さです。特筆すべきは、大学の教授陣による寄稿とはいえ、決して論文のような真面目で退屈な記事にはなっていないことです。

また、高校生、大学生が主なターゲットであるため、切り口も内容も、旬の話題に紐づいたキャッチーなコンテンツが多いことも特徴。その質とトピックス性の高さは、「Yahoo!ニュース」に記事を提供していることからもうかがい知ることができます。

明治大学は、かつて学生運動、応援団、バンカラのイメージが強い「男くさい」大学でしたが、それも今は昔。「あの明治大学が、なぜ女子高生が選ぶNo.1大学になったのか?」(上阪徹、東洋経済新報社)という本が出されるほど、女性にも人気の高い大学となっています。

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少子化により受験生が減る時代にあって、近畿大学は10年間で志願者数を2倍にし、2014年から6年連続志願者数日本一を更新中。多くのユニークなPR戦略が功を奏した結果ですが、「Kindai Picks」もそのPR戦略の一環といえます。

◆ブランディングの採点◆
5(Meiji.net):5(Kindai Picks)

両大学ともに、元々持つブランド力を存分に活かしたメディアづくりに成功しているといえます。普通のビジネスと違って、大学のブランド力は、偏差値を含めなかなか簡単に変えられるものではありません。近畿大学は2014年の新聞広告、「固定概念を、ぶっ壊す。」でさまざまな広告賞を総なめして以来、革新的なPR戦略に挑み続け、現在の人気ブランドに至っています。

【2】おや?まあ!へぇ~

ともにメディアとしてのクオリティが非常に高く、オウンドメディアを運営している企業が参考にしたい点は数多くあります。

まず、コンテンツの選び方。そしてタイトルと文章です。例えば、「Meiji.net」の「ビジネス」カテゴリでは、「日本企業のアジア進出は、日本人のあり方を見直すきっかけになる」「世界遺産に登録された日本の古墳には、世界に誇れる特異性がある」など、視点を少し変えることで、意外な側面を浮き彫りにする切り口がとてもユニークです。

その道の専門家である教授陣が寄稿する記事ゆえに、内容が深く濃いのは当然なのかもしれません。とはいえ、決して学者然とした堅苦しい内容ではないところが、メディアとしての「Meiji.net」の存在感を際立たせています。多くの記事が「おや?まあ!へぇ~」のオンパレードといっていいほど、個性的な切り口の記事が並びます。

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一方、「Kindai Picks」は、「Meiji.net」をさらに噛み砕いた、親近感を抱かせる切り口の記事を数多くそろえています。例えば、「「汚い」って何だ!?お金・スマホ・トイレ…身のまわりの菌を採取して免疫学の先生に聞いてみた」「TOEIC下克上!400点だった私たちが一年で900点取れた理由」など、まるでYouTuberの動画のようなキャッチーなタイトルが並びます。

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◆おや?まあ!へぇ~の採点◆
5(Meiji.net):5(Kindai Picks)

この項目も、両者ともに譲らず、引き分けとしました。ユーザーへのアプローチのトーン&マナーは、「Meiji.net」が「硬」なら、「Kindai Picks」は「軟」。しかし、どちらもスマホ世代に向けたキャッチーな切り口とテーマで、「堅苦しい、難しい、つまらない」となりがちな、学びの既成概念を覆しています。

「堅苦しい、難しい、つまらない」というのは、多くの企業が必ず直面する壁でもあります。企業がコンテンツを配信するとき、最大公約数的な無難なコンテンツに向かうあまり、どうしても二番煎じの切り口、建前的なコンテンツになりがちです。そういう意味で両メディアは、どんなに硬いテーマを真面目に扱っても「おや?まあ!へぇ~」と、人の心を動かすおもしろいコンテンツを作ることが可能であることを教えてくれます。

【3】ソートリーダーシップ

ネットには、集合知という考え方があります。集合知とは、専門家に限らず多くの人の知識を蓄積し、その膨大な知識を分析したり体系化したりして、活用できる形にまとめたものです。皆さんご存じの「Wikipedia」は、その象徴として知られています。
そのWikipediaによると、「集団的知性」とは、「多くの個人の協力と競争の中から、その集団自体に知能、精神が存在するかのように見える知性である」とあります。教授陣の叡智を集結する「Meiji.net」のコンテンツは、まさに集合知。そして、コンテンツを通して、教員陣と学生こそが、その集団的知性の主体であることを証明しています。

「Kindai Picks」は、学生視点でレポートする学生主体のメディアになっています。しかしながら、ソートリーダーシップという観点では「産学連携」「近大人」など、大学の方針や理念が直接伝わってくるコンテンツが豊富にそろっています。

近畿大学の強みは、ビジネスと直結した「実学教育」を理念としていること。米国型の産学共同の精神を貫く日本では、数少ない大学のひとつです。近大マグロは、初代総長の「海を耕せ」という提唱のもと、天然の魚を守りつつ、養殖によって海の食糧を社会に供給するという研究理念が反映されています。近大マグロのPRが世間で話題になったのも、「実学教育」のソートリーダーシップが人々の心に強く響いたからこそでしょう。

◆ソートリーダーシップの採点◆
4(Meiji.net):5(Kindai Picks)

理念や哲学の打ち出しの強さで、「Kindai Picks」が優位に立ちました。「Meiji.net」の記事の執筆陣は、教授陣を強く押し出しているのに対し、「Kindai Picks」の執筆陣は、学生から教授、企業、外部のライターなど、多岐にわたっています。「Kindai Picks」は、第三者からの客観的評価も含め、近畿大学という「学問の共同体」を総括的に描いています。

【4】解決策の提示

「Meiji.net」は、高校生や大学生が抱える悩みや課題に直接答えるような課題解決の提案はしていません。例えば、「キャリア・教育」というカテゴリでは、「日本の主権者教育は、世界に40年以上遅れている!?」「TOEFL スピーキングスコアがアジア最下位の日本は、変われるか?」など、あくまでも報道スタイル。

むしろ、みずから多くを学ぶことで課題を発見し、解決する力をつけるよう促しているようでもあります。自主性を重んじる大学の教育の姿勢なのかもしれません。実践的なお役立ち情報ではなく、あくまでも世の中で起きているさまざまな事象を伝えることで、学生にみずから考えさせるスタンスだといえます。

「Meiji.net」が専門性の高い硬派なジャーナリズムであるのに対し、「Kindai Picks」は、より身近な生活に根ざした情報が充実しています。例えば、「昼夜の温度差に注意!季節の変わり目に出るくしゃみや鼻水は「寒暖差アレルギー」が原因かも」「超学食革命!健康管理とキャッシュレスに特化した次世代型「近大新食堂」徹底紹介」など、より自分事化しやすい身近な実践的ノウハウに特化しています。学生目線で進路、就職、キャンパスライフ、イベントなど、多岐にわたりさまざまなお役立ち情報を提供しています。

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◆解決策の提示の採点◆
4(Meiji.net):5(Kindai Picks)

自立を促す「Meiji.net」と、手取り足取りヒントを提示してくれる「Kindai Picks」。それが、両大学の教育スタンスなのかもしれません。どちらが正しいということではありませんが、ここではコンテンツの豊富さと実践的な指導も充実した「Kindai Picks」を一歩リードとします。

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【5】ストーリー性

「Meiji.net」は、「明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト」というコンセプト自体がストーリーといえます。学生は教授陣から学び、知識を蓄え、思考をめぐらし、社会に旅立つ。各分野の専門家である教授陣が、学生たち人生のストーリーの道案内を務めています。
常設されている「連載コラム」では、「生の情報に沢山触れ、自分の考え方を相対化しよう」といった、教授陣が人生の先達として学生たちにさまざまな助言を送っています。各教授陣の思考の集合知が、学生たちを育むストーリーとなっているといえます。

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近畿大学は、学問をストーリー化するのが得意な大学です。やはり、有名なのは養殖の近大マグロでしょう。近畿大学の世耕石弘氏は、インタビューで「近大マグロは単なる近大の研究成果ではなく、近大が掲げる実学教育をわかりやすく伝える最強のコンテンツと位置づけました」と語っています。

そして、その実学教育を伝えるためにユニークな広告を打ち、オープンキャンパスではマグロの解体ショーを行い、近大マグロを使用したカップラーメンの販売や直営店の運営なども実施しました。その成功を受け、「Kindai Picks」では「ノーベル賞受賞者も絶賛!「ノーベル・プライズ・ダイアログ」で近大マグロの可能性に迫る」といった実学教育の現状を随時レポートしています。

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◆ストーリー性の採点◆
4(Meiji.net):5(Kindai Picks)

ドラマチックなわかりやすいストーリー性の高いコンテンツを数多く配信する「Kindai Picks」の勝ち。「Kindai Picks」が一話完結型の連続ドラマだとしたら、「Meiji.net」は主題を述べて、個人の主観的な感情や思想を強く表現する映画のようです。

総合結果

最後に、それぞれの項目の結果を合計してみましょう。

◆合計◆
22(Meiji.net):25(Kindai Picks)

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どちらもハイレベルの勝負でした。どちらのオウンドメディアも、つい夢中になって読み耽ってしまう魅力にあふれています。今回は、総合点が満点という卓越したレベルで「Kindai Picks」の勝ちとしました。

ここまでレベルの高いオウンドメディアはなかなか見当たりません。有名大学でもお粗末なオウンドメディアは数多く見られます。それは単に、予算だけの問題ではないでしょう。大学内の理解、風通しの良さ、協力体制がなければ実現しなかったことは想像に難くありません。

オウンドメディアの運営によるユーザーとのエンゲージメントを築くには、時間がかかります。ましてや、大学には企業が売るような「商品」や「サービス」があるわけではありません。あえて言えば、「教育」が商品であり、サービスです。その教育の質の高さを訴求するには、オウンドメディアはとても親和性の高い手段です。

近畿大学の世耕石弘氏は、「日本の大学のアップルを目指す」と公言しています。それが単なる誇張したビッグマウスでないことは、「Kindai Picks」のコンテンツづくりの姿勢からも伝わってきます。

少子化によって、今後運営がままならない大学も増えていくことでしょう。その中で生き残っていくには、若者が憧れ、学びたいという意欲を駆り立て、優秀な人材を輩出していくことしかありません。

今回、紹介した明治大学と近畿大学以外でも、東洋大学の「LINK UP TOYO」、京都造形芸術大学の「アネモメトリ」、武蔵大学の「Musashi Web Magazine」、津田塾大学の「plum garden」など、ユニークなオウンドメディアを運営している大学は少なからずあります。オウンドメディアをうまく活用しきれていないいわゆる有名大学も、現状にあぐらをかいていると、じわじわとその地位を奪われる日が来るかもしれません。

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