年間750万セッション突破!日本一のバーベキューメディア「BBQ GO!」の戦略とは?

年間750万セッション突破!日本一のバーベキューメディア「BBQ GO!」の戦略とは?

「BBQ GO!」は、日本ハム株式会社が運営する国内最大級のバーベキュー情報専門のオウンドメディアだ。2015年3月に立ち上げてから、1年半で約800万セッションを達成し、今では年間750万セッション以上のメディアへと成長した。

全国のバーベキュースポット情報や、バーベキューに関する「準備」「食材・材料」「道具・用品」「レシピ」などのお役立ち情報を提供。バーベキューという食文化を通じて、ニッポンハムグループが企業理念に掲げる「食べる喜び」の機会づくりに日々努めている。

「BBQ GO!」を運営する、日本ハム ブランド・コミュニケーション室の藤本芳人氏に、オウンドメディアとして「BBQ GO!」がいかにして国内最大級の専門メディアに育ったのか、その戦略と施策について語ってもらった。

「BBQ GO!」はバーベキュー情報メディアとして日本一を誇っている。

ナンバーワンになれる勝算があった

――「BBQ GO!」を立ち上げるまでの経緯をお教えください。

まず、バーベキュー市場で活躍するのは、ニッポンハムグループの主要商品である食肉・食肉加工品です。そのような食シーンにおいて、企業理念の「食べる喜び」について機会づくりをお手伝いするという一環で「BBQ GO!」を立ち上げました。

オウンドメディア運営は、事業活動に即した企業理念の実現につながる活動とも言えますし、マーケティング視点でもさまざまなメリットが期待できるアプローチであると考えました。

日本ハム株式会社のブランド・コミュニケーション室に所属する藤本芳人氏。「BBQ GO!」を推進した立役者。

――なぜ「バーベキュー」をテーマに選んだのですか。

企業理念につながるテーマで考えると、食品メーカーですので、レシピ情報など容易に思いつくものは多数あります。しかしリサーチする中で、レシピ情報などのテーマは競合が多く、これから参入するのはなかなかきびしいという判断をしました。

ニッポンハムグループとして、生活者や得意先の方たちとどのようなコミュニケーションを行えば、関係性を密にしていけるのか、確度の高いアプローチはないのか、さまざまな検討をしていきました。その結果、テーマのひとつにバーベキューが浮かび上がってきました。

バーベキューはニッポンハムグループの幅広い事業領域(食肉/食肉加工品/乳製品/水産品など)にフィットする数少ない食シーンです。特に主役のお肉は、当社が国内トップシェアをいただいているカテゴリなんですね。

――どのようなリサーチを行ったのでしょうか。

昨今のバーベキューブームで年間2,000万人以上が参加する国民的レジャーに成長しており、検索回数も大きなボリュームがありました。しかしながら新興市場であるせいか、強力なバーベキュー専門メディアも存在していませんでした。

今ならバーベキューに興味関心を持つ多くの生活者が集まる場所としての大規模メディアを実現できると判断し、バーベキューのメディアを始めようということになりました。

――すでに市場が成熟しているレッドオーシャンではなく、未開拓のブルーオーシャンを狙ったわけですね。

そうですね。開設当時、一番多くのバーベキュー関連情報を発信されていたのは某旅行会社様が運営する観光情報サイトでした。でも専門的なアプローチではなく、サイトの中で一部の特集コンテンツとして、バーベキュー場を紹介していたくらいでした。

しかしながら、生活者が求めるバーベキュー関連情報について調査を重ねると、そこに大きなギャップというか、不足感があることがわかりました。生活者が真に求めるバーベキュー専門メディアサイトというブルーオーシャンが残っているのではないかと考えたのです。

検索ボリューム✕競合をリサーチ

――テーマがバーベキューに決まってからは、どのようにコンテンツに落とし込んでいったのですか。

まずは、バーベキューというテーマに対する生活者のニーズを、キーワードごとに分解しました。次に、バーベキューに関するキーワードごとに、競合状況を調査しました。

検索ボリュームや競合リサーチからさまざまなテーマを検討。競合メディアのリサーチを行った上で、バーベキューメディアを立ち上げることを決断した。

また、キーワードごとに生活者が求めるコンテンツを明らかにし、バーベキューというテーマについて、生活者のニーズを細かく可視化しました。そのうえで、可視化したニーズに対し、どのようなコンテンツ制作・配信のしくみを構築すれば、継続的に無理なくアプローチし続けられるのかを研究していきました。

――ニーズが明確になったことで、勝算があると判断できたわけですね。

このプロセスを経ることによって、戦略的にも戦術的にも確度が高いと思われるプランに至ることができましたね。

バーベキューに関連するワードで検索する8割近くの方が、「バーベキュー 東京」「バーベキュー 関東」といったエリアをかけ合わせたキーワードで検索していることがわかりました。バーベキュー場に関するコンテンツを制作する前に、この点をしっかり把握できたのが重要なポイントだったと記憶しています。

――かなり細かく分析していったんですね。

難しい話ではなく、検索エンジンの公平性を前提にすれば、質×独自性を伴ったコンテンツの制作を、国内ナンバー1の規模で実現できれば、一番人が集まるバーベキュー専門メディアを作ることができるはずなんですよ。

その当たり前の話をどのようなしくみで実現するのか、それを事前に細かいレベルまで描くことができたのが、国内ナンバー1のバーベキューメディアの実現にいたった理由です。

当初から国内最大級のバーベキューメディアを目指し、半年後のローンチに向けて逆算的にプロジェクトをスタートしました。結果的に、公開後1年半で約800万セッションを達成し、バーベキュー専門メディアとしては国内ナンバー1の検索アクセス数を達成できたので、事前の研究結果は間違っていなかったと思っています。

質✕独自性✕情報量で圧倒する

――質と独自性と情報量のレベルは、具体的にどんな基準で判断したのですか。

独自性という点では、すべてオリジナルの一次情報であるということですね。

例えば、バーベキュー場の情報は、メールや電話で1件1件、「BBQ GO!」編集部が取材を重ねていって集めました。今でもそこは変わりません。

質という点では、専門家に監修をいただいたコンテンツを制作したり、競合状況と生活者のニーズのギャップを継続的にモニタリングして不足を埋めていったりしています。実際の生活者にサイトを利用していただいて、行動を観察分析して潜在的な不足感を明らかにしたりといった施策も行っています。

 

「BBQ GO!」メディア立ち上げからの戦略
  • 企業理念につながっている、事業領域と親和性が高い、興味関心を持つ人が多い割に競合がそれほど強くない、この3つが伴ったテーマを選ぶ。
  • 質✕独自性✕量を伴った有益なコンテンツを、制作・配信し続けられるしくみを作る。

 

――バーベキュースポットの情報以外では、どのような点で差別化を図っていますか。

現在、バーベキューのレシピも380件以上になっています。オリジナルのバーベキューレシピでは国内で一番多く情報を発信していると思います。

――撮影はどのようなフローで進められているのですか。

年に2〜3回、まとめて撮影しています。レシピのようなコンテンツは、オウンドメディアで発信するだけではなく、店頭でのメニュー提案に活用するなど、二次利用できる機会も多いので、力を入れているコンテンツのひとつです。

「BBQ GO!」では、数多くのオリジナルレシピが料理写真工程付きで紹介されている。

うちわでバーベキュー場とWin-Winに

――オウンドメディアと並行して行っている施策などはありますか。

今期は、全国のバーベキュー場(約600ヵ所)にオリジナルの「BBQ GO!」うちわを配りました。紫外線チェッカーもついていて、紫外線があたると柄が紫色に変わって、お客様からも大好評をいただきました。

昔でいうと、どこの銭湯にもあった黄色いケロリンの洗面桶に近いイメージですね。ケロリンという薬の広告が入った洗面桶です。バーベキュー場に行くと、どこにでも「BBQ GO!」のうちわがある、という状況を作りたいと考えています。

バーベキュー場で配布されている「BBQ GO!」のオリジナルうちわ。

現在では多くの方が「BBQ GO!」を見て、行きたいバーベキュー場を決めてくれています。しかも、バーベキュー場に行くと「BBQ GO!」や「ニッポンハムグループ」の広告がある。それぞれ片方だけのアプローチに比べて、より効果的なプロモーションに活用できるのではと期待しています。

オウンドメディアというよりはオウンドサービス

――オウンドメディアを運営していて、一番難しいと思うのはどんな点ですか。

やはり、半年間という期間で、膨大なコンテンツをゼロから作るのはたいへんでした。あと、当初は原稿のライティングも苦労しました。バーベキューに詳しいライターはなかなかいないので、社内外含めて体制作りに苦労しました。

――コンテンツを作る上で、ほかに重視したポイントはありますか。

日本は、バーベキュー初心者の方が多いので、レシピやハウツーの記事では、初心者の方に刺さる情報にこだわりました。新しいコンテンツを企画するとき、いかにもメディア受けしそうなユニークな切り口に走りがちなのですが、実際に多くの生活者が必要とする情報から焦点を外してはいけないと考えています。

ちなみに公開時から「初心者マニュアル」のページがあるのですが、それが今でもダントツのアクセス数となっています。

人気記事ランキングでは、初心者向けコンテンツが並ぶ。

――知らずしらずのうちに「BBQ GO!」のコンテンツを見て、バーベキュー場に行かれている方もいそうですね。

そうですね。バーベキュー場に関するキーワードの検索アクセスシェアも高いですし、そういう方は多いはずです。

バーベキュー場以外のテーマで言えば「レシピ」でも最近は高いシェアを獲得していますので、当社商品を活用したバーベキューレシピを閲覧し、ご利用いただいている機会も増えていると考えています。

――1位を守るために、競合との争いはエンドレスに続きそうですね。

そうですね。ただ勝ち続けるために重要なことは、ニッポンハムグループが生活者やバーベキュー場などにとって、必要とされる取り組みを継続的に続けられるかどうかです。そのしくみ作りができれば、自ずと結果もついてくると考えています。

――バズを狙ったり、広告で一過性の訪問者が増えたりしても、継続性がなければ意味がありませんよね。

そうだと思います。そういう意味では、有料広告を利用しない運営にこだわっています。大概の場合、広告に頼った数字は一過性のものなので、本質ではありません。

広告に頼らなければ人が集まらないメディアなら、どれだけ記事の質が良いとしても、ネット上では「不必要な存在」と言い換えられても仕方がないと考えています。

――「BBQ GO!」というオウンドメディアは、今後どうあるべきだと考えていますか。

我々は食品メーカーであって、メディアのプロではありません。素人だけで永続的に人気メディアを運営することは非常に難しいと思っています。

私がしくみ作りにこだわるのはこのためです。社内だけではなく、社外パートナーのご支援も広くいただきながら、無理なく継続的にコンテンツを制作し続けられる体制を構築しないといけません。

「BBQ GO!」は、世の中のトレンドにあわせてオウンドメディアという呼び方をしていますが、私はオウンドメディアというより、バーベキュー市場のインフラとなりうる「オウンドサービス」を志向すべきだと考えています。

バーベキューは、多くの生活者にとっての国民的レジャーです。バーベキュー場、流通、ECなどの事業者、そして我々食品メーカーにとって欠かせないオウンドサービスをニッポンハムグループが運営していく。そうすることで、バーベキュー市場に対し、コミュニケーション観点でも、マーケティング観点でも、たくさんの相乗効果を生み出すことができると期待しています。

 

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著者紹介

成田 幸久(なりた ゆきひさ)
成田 幸久(なりた ゆきひさ) コンテンツディレクター(コンテンツマーケティング戦略支援・制作支援)

AMEX会員誌「IMPRESSION」や「ワイアード」日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか、「ギズモード・ジャパン」創刊ディレクター、セブン–イレブンとヤフーの共同事業メディア「月刊4B」編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、ウェブメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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