オウンドメディアはPV(ページビュー)を追いかけると、なぜ失敗するのか?

オウンドメディアはPV(ページビュー)を追いかけると、なぜ失敗するのか?

オウンドメディアのコンテンツを作るとき、どんなことを基準に考えますか?
おもしろい?拡散されやすい?千本ノックのようにライターにネタを出させて作る?
もしかすると、クラウドソーシングを使って、適当に数合わせをしていませんか?

広告に依存するウェブメディアと同じように、PVを意識しすぎてしまう作り方だと、オウンドメディアにとっては非常に非効率で、誰も得しない無駄なコンテンツを量産しかねません。

世の中のコンテンツは3種類に分類される

世の中のコンテンツは、「みずから売れるコンテンツ」「広告に依存するコンテンツ」そして「広告としてのコンテンツ」の大きく3種類に分けられます。
まずは、この3種類のコンテンツについて、それぞれの特徴と役割について説明していきましょう。

みずから売れるコンテンツ

「みずから売れるコンテンツ」とは、それ単体で価格がついて、ユーザーが購入できるコンテンツのことです。
中でも、映画や音楽のようにエンターテインメント性の高いコンテンツは、投資型コンテンツともいえます。当たれば莫大な収入が得られますが、外せば大きな損失を生みます。映画のように100億円の制作費を投じても、200億円の売上があればペイできます。
小説だと、又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」は、単行本の発行部数が250万部以上となっています。売上金額をざっと計算すると1,200円×250万部=30億円です。原価を考えたら、すごい利益率です。

広告に依存するコンテンツ

「広告に依存するコンテンツ」は、テレビや雑誌、ラジオ、新聞、ウェブメディアといった、視聴率やPVなどを指標にし、おもに広告収入で成立するコンテンツです。
電通の調査「2017年 日本の広告費」によると、2017年の日本の総広告費は6兆3,907億円で、そのうち、マスコミ四媒体と呼ばれるテレビ、新聞、雑誌、ラジオの総広告費は2兆7,938億円となっています。それぞれのメディアは広告収入を得るために、できるだけ多くの人に見られるコンテンツを制作します。
全体の3割を占める、広告費1兆9,478億円のテレビが依然広告の王者に君臨していますが、近年はインターネット広告費(2017年は1兆5,094億円)が4年連続で二桁成長しており、テレビに次ぐ広告マーケットとなっています。

広告としてのコンテンツ

最後の「広告としてのコンテンツ」とは、企業が直接消費者とコミュニケーションを図り、商品・サービスなどの訴求をするため、企業みずから運営するメディアから発信するコンテンツのことです。
従来、企業は自社の商品やサービスを知ってもらうには、マスコミ四媒体や屋外看板、チラシなどに広告を出すしか方法がありませんでした。しかし、インターネットの発達によって、今日では、企業みずからがメディアで情報を発信することができるようになりました。これがオウンドメディアです。

「広告に依存するコンテンツ」の2種類のアプローチ方法

「広告に依存するコンテンツ」には、どれだけ多くの人に届けられるか、もしくはどれだけ絞り込まれた特定のターゲットに効率良くリーチできるかという、2種類のアプローチ方法があります。

マスコミ四媒体のうち、テレビや新聞といったメディアは、数百万、数千万というマスのターゲットが対象となり、視聴率や発行部数がおもな指標となります。一方、雑誌やラジオは数万、数十万の絞り込まれた特定のターゲットが対象となります。
マスをターゲットにしたメディアは、なるべく多くのターゲットに届けたいため、最大公約数的なコンテンツになりがちです。例えば、スポーツ番組をやるにしても、特定のマニアなスポーツファンを対象にはしないため、芸能人をゲストに迎えたり、専門的な話を避けたりするなど、なるべく広い層にリーチするようにします。
一方、雑誌やラジオのようなメディアは、ターゲットを絞り込んで、効率良く関心層にリーチしやすいコンテンツを制作します。住宅専門の雑誌なら住宅関連の広告が、美容専門の雑誌なら美容関連の商品広告が多く入ります。

Advertisement Online Marketing Commerce Concept

二極化する広告依存のウェブメディア

では、ウェブメディアの場合はどうでしょうか。

広告に依存するウェブメディアも、従来のマスコミ的な規模を目指すメディアと、雑誌のようにターゲットが絞り込まれたメディアとに分けられます。百花繚乱、戦国時代という言い方もできますが、同時に玉石混淆、カオスという言い方もできます。

例えば、ゴシップやアダルト、スキャンダルをテーマにしながら、数千万~数億PVを稼ぐウェブメディアは多くあります。しかし、この手のウェブメディアに出稿される広告の多くは、コンプレックス系、情報商材系、アダルト系、美容系などのネットワーク広告が主流となっています。ネットワーク広告でのマネタイズを狙ったウェブメディアは、PVさえ稼げればいいので、極論、記事は最後まで読まれなくてもいいのです。質をないがしろにして、毎日大量のコンテンツを量産し、検索で上位表示させて、流入が増えればビジネスとしては成立します。かつて、「WELQ」をはじめとした、一連のメディアがやっていた手法です。

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一方、同じ広告に依存するウェブメディアでも、メディアとしてのブランドを確立し、「ネイティブ広告」(デザインや内容がメディアの記事と同じ形式を取る広告)を主軸にマネタイズを狙うメディアもあります。これらのウェブメディアは、出稿するスポンサーのブランドとの親和性が求められるため、品質管理には細心の注意を払います。その分、コストもかかるため、常に量とのせめぎ合いで苦労するウェブメディアも少なくありません。

ウェブメディアの場合、コンテンツ制作費に月額100万円を投入すれば、よほどヘタをしない限り、月間100万PVは可能です。しかし、月間100万PVでは、ネットワーク広告の枠を作っても30万円くらいにしかならないので赤字になります。
毎月100万円をかけて、1,000万PVを得ることができれば、単純計算で300万円の広告収入となり、黒字にはなるでしょう。

オウンドメディアは広告依存のメディアではない

それでは、オウンドメディアのコンテンツはどのように考えればいいでしょうか。
「広告としてのコンテンツ」であるオウンドメディアは、そもそも目的が「みずから売れるコンテンツ」や「広告に依存するコンテンツ」とは異なります。ところが、多くのオウンドメディアが、「広告に依存するコンテンツ」と同じ文脈でコンテンツを作ってしまうことがよく見られます。

オウンドメディアは、自社の商品やサービスの情報を提供するメディアです。そして、潜在的ユーザーに知ってもらい、「訪問客→見込み顧客→顧客→優良顧客」に育てていくメディアです。ですので、属性のはっきりしない不特定多数のターゲットにアプローチしても、効率は良くありません。それでは、郵便受けに投げられるチラシのような施策と変わりません。
オウンドメディアが扱うコンテンツは、あくまでも自社の商品やサービスに紐付いたもの。直接、商品やサービスの情報を提供しなくても、最終的に潜在顧客の関心を引くための情報を提供することになります。そこで、いかに最終的に「優良顧客」へと育てていくかが勝負になるのです。

オウンドメディアに託されたミッション

企業が広報・宣伝費でオウンドメディアを運営する場合、大手企業でもない限り、毎月100万円を拠出するのはなかなか難しいでしょう。仮に毎月50万円を使えるとしたら、月間1,000万PVを目指すのは難しいかもしれませんが、50万PVであれば、現実味を帯びてきます。

もし、あなたの会社がオーガニック系の高級石鹸やシャンプーを扱っているとしたら、10代の若者や中年男性をターゲットにはしないでしょう。商品に合ったペルソナを設定して、ターゲット層を絞り込むはずです。その場合、ボディケアに関心のない1,000万人のターゲットにリーチしても、ほとんど意味はありません。きっと、年収の高い30~40代の女性を狙うことになるでしょう。あるいは、ギフト需要を狙う可能性もあります。
1,000万人の通りすがりより、50万人のボディケアに関心が深いターゲットにリーチすれば、費用対効果は高くなります。その親和性の高いターゲットを「訪問顧客→潜在顧客→顧客→優良顧客」へと導いていくのがオウンドメディアの役割であり、コンテンツマーケティングを実施する意味なのです。

つまり、オウンドメディアが他のメディアと違うのは、コンテンツ単体がどれだけ多くの人に読まれたとか、どれくらいのアクセスを稼いだとかは主目的ではないということです。
目先のPV数を追いかけるあまり、提供するコンテンツが、独自性がなく一般的な内容でしかないように「コモディティ化」してしまっては本末転倒です。濃いコミュニケーションを図りたい人や、コアなファンを逃さないためには、オンリーワンのコンテンツを提供しなければなりません。
また、オウンドメディアで効果を出していくには、ある程度時間もかかります。ですから、一時的なPVの多寡で、一喜一憂するのもナンセンスです。行き当たりばったりの千本ノックで数を追うのも、最終的なゴールではありません。オウンドメディアに託されたミッションは、ユーザーと信頼関係を築き、扱う商品やサービスを愛してもらうことなのです。

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著者紹介

成田 幸久(なりた ゆきひさ)
成田 幸久(なりた ゆきひさ) コンテンツディレクター(コンテンツマーケティング戦略支援・制作支援)

AMEX会員誌「IMPRESSION」や「ワイアード」日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか、「ギズモード・ジャパン」創刊ディレクター、セブン–イレブンとヤフーの共同事業メディア「月刊4B」編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、ウェブメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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