そもそも「質の良いコンテンツ」って何?【成田幸久のコンテンツ相談室】

そもそも「質の良いコンテンツ」って何?【成田幸久のコンテンツ相談室】

こんにちは。コンテンツディレクターの成田幸久です。
このコーナーでは、お客様からよくいただくご質問から毎回1テーマをピックアップしてご紹介していきたいと思います。

コンテンツマーケティングでは、「質の良いコンテンツを作れ」という主旨の記事をよく見かけます。しかし、そもそも「質の良いコンテンツ」が何なのかよくわからない、とお客様からご相談をいただくことが多々あります。

今回はこの「質の良いコンテンツ」とは何かについて説明をしたいと思います。

「質の良いコンテンツ」とは、一言で言えば「ユーザーにとって付加価値の高い」コンテンツだと、私は考えています。

では、「付加価値」とはなんでしょうか?

滋養強壮ドリンクのタレントは誰が適任?

たとえば20代〜30代の男性をターゲットとした滋養強壮ドリンクのプロモーションを展開します。そこでユーザーターゲットの興味・関心をひくキャスティングを考えてみます。

A. 元気でご機嫌な熟女

B. 若くて元気で美しい女性

C. 若くて元気でフラフープをする美しい女性

D. 若くてかわいい人気アイドル

スライド01

あなたなら、ADから誰をキャスティングしますか?

A. 元気でご機嫌な熟女」を選ぶ人はたぶんいないでしょう。なぜなら、ターゲットである20代〜30代の男性が、熟女に興味・関心を抱いたり、熟女から滋養強壮ドリンクを勧められて共感を得たりする可能性は低いからです。

B. 若くて元気で美しい女性」はどうでしょうか。選ぶ人はいるでしょう。なぜなら「若くて元気で美しい女性」は、それだけである程度の付加価値を持つからです。しかし、「ただ若くて元気で美しい女性」で注意を引きたい場合、激しい競争に晒されます。つまり差別化が難しいのです。そこにアクションやキャラクターが付与されないと、ユーザーは共感ポイントを見出せません。そこにストーリーがないと、「きれいだね」で終わってしまうのです。

それであれば、むしろ「A. 元気でご機嫌な熟女」を選択して、常識を疑う企画を考えたほうがよいでしょう。

では、「C. 若くて元気でフラフープをする美しい女性」はどうでしょうか。フラフープでなくても構いません。歌でも、朗読でも、ダンスでも、なわ飛びでもよいです。つまり、ここでは何かしらのアクションを加えることでキャラクターづけをして、その女性の存在に意味を持たせます。そうすることで「B. 若くて元気で美しい女性」にストーリーを付与し、さらに付加価値を高めます。

C.若くて元気でフラフープをする美しい女性

最後に「D. 若くてかわいい人気アイドル」ですが、これを選択する方も多いと思います。なぜなら、Dはすでに市場で付加価値が認められているので、投資対効果の計算がしやすく、リスクが低いからです。テレビCMの多くが数千万円を使ってでも、有名タレントを起用するのはこのためです。ただし、ローリスクではありますが、原価も高くなるので付加価値は相対的に低くなります。

さて、あなたはどれを選択しますか?

スライド02

短期決戦の広告の場合、「D. 若くてかわいい人気アイドル」を選択することは多くあります。しかし、長期戦においては、Dを選択することはあまり効果的ではありません。コンテンツマーケティングでは、一時的に認知を拡大したり、注目を浴びたりすることより、ユーザーと長期的視点に立ってコミュニケーションを図ることを重視します。そのための付加価値をつけなければなりません。なので、選択すべきは「C. 若くて元気でフラフープをする美しい女性」になるのです。スライド05

ユーザーとコミュニケーションを図る施策

では、以前私がユーザーとコミュニケーションを図るために実施した施策の一例を紹介しましょう。
あるメディアで「美女って何だ?」と題した特集を組み、5本の企画を立てました。

そのときの企画のPV数は下記の順になりました。

1位 美女相性診断(素人の女の子)

2位 美女格言(素人の女の子)

3位 美女時計(グラビアアイドル)

4位 美女座談会(素人の女の子)

5位 有名女優(小雪)

この順位はほぼ想定通りでした。

 

スライド06

 

まず、「美女相性診断」では、モデルとなってくれた5名の女の子に趣味や価値観、好きなタイプの男性などについて取材をし、聞いた内容をもとに相性診断用の質問を作成しました。そして相性度を「020%」「21〜50%」「51〜80%」「81100%」の4段階に分けました。つまり5名☓4段階=20通りの回答を用意しました。そうすることで、ユーザーのどんな行動が予想されるでしょうか。

私はユーザーがすべての女性との相性を試みることを期待したのです。自分の一番タイプの女の子との相性が「81100%」になればいいのですが、そうでなかった場合、ほかの女の子との相性を試すのが男性心理だからです。

ここで重要なのが、「リアリティ」「スト―リー」です。診断結果のページには、女の子たちのコメントがあります。そのコメントによって、なぜ相性が良いのか、なぜ相性が悪いのかをユーザーは知ることができます。「リアリティ」と「スト―リー」こそが、ユーザーにとっての付加価値だと考えたのです。

「美女相性診断」に登場する女の子たちは、ユーザーにとって見ず知らずの女性ですが、診断に答えることで女の子とコミュニケーションを図り、自分ゴト化することができるのです。もちろん診断をしたからといって、知り合うことも直接会うこともできません。だからといって、ただ美女の写真を見せるだけで、適当な設問と診断結果で辻褄を合わせるだけでは、「リアリティ」と「スト―リー」は伝わりません。女の子とユーザーをつなぐストーリーを紡ぐためには、リアルな「生」の声が必要なのです。

「リアリティ」と「スト―リー」がないコンテンツの末路

AKB48がアイドル界の人気を独占するさなか、差別化を図ろうと、芸能界では一芸をウリにした「○○ドル」が流行りました。鉄道に詳しい「鉄ドル」、歴史に詳しい「歴ドル」、太めの「樽ドル」など…しかし、売れっ子になったアイドルはほとんどいません。「○○ドル」は一見、「B. 若くて元気で美しい女性」に新たな付加価値を加えているように見えます。しかし、その専門性、つまり説得力のある「リアリティ」が欠落しているがゆえに、むしろアイドルとしての商品価値を曖昧にしてしまっているのです。

また、ちょっと前にスポーツを支援するアイドルユニットが誕生したことがありましたが、これもすぐに消えました。なぜ消えたのでしょう。集められたアイドルたちは、最初はさまざまなスポーツイベントに出ていました。しかし、彼女たちはスポーツに詳しいわけでも、スポーツが得意というわけでもありませんでした。そこにはアイドルに共感すべき「リアリティ」と「スト―リー」が存在しなかったのです。ユーザーはファンになる動機を持ち得ないのです。これも「B. 若くて元気で美しい女性」の域を出なかった例でしょう。コンテンツに付加価値をつけていないため、ファンを育成できなかったのです。

USP(独自の売りの提案)を訴求するための「リアリティ」と「ストーリー」

これはアイドルやタレントだけに限った話ではありません。あなたの会社の商品やサービスも同じです。

マーケティングには、USP(Unique Selling Proposition)という考え方があります。「独自の売り」あるいは「独自の売りの提案」という意味です。このUSPは企業が商品やサービスを売るうえで欠かせない考え方です。なぜなら競合と差別化できて、自社しか提供できないメリットをユーザーに訴求する必要があるからです。

USPを効果的に訴求するためには、ユーザーが自分ゴト化し、共感できる「リアリティ」と「ストーリー」が不可欠なのです。

USPになり得ない情報をいくらたくさん集めても、ユーザーに愛されることはありません。「リアリティ」と「ストーリー」のないコンテンツに付加価値は生まれないのです。

稲村亜美というアイドルのUSP

少し前から話題になっている「神スイング」のアイドル・稲村亜美をご存知でしょうか。彼女は小中学生時代の野球経験を生かしたCMで「バットスイングがスゴイ!」と注目を浴びました。彼女の9年間の野球経験は「リアリティ」を持ちます。そして今年、プロ野球全球団の始球式に出ることを目標に掲げ、時速110キロの投球を目指しているそうです。現在最高記録は103キロ。ただ「かわいい、スタイルがいい、フォームがきれい」というだけでは、そんなに長くは続かないでしょう。

トヨタG’sのCM

しかし、稲村亜美はアイドルでありながら、9年間リトルリーグ(ダルビッシュ投手や田中将大投手も所属!)で野球を経験してきたという「リアリティ」と、「どこまで記録を伸ばすことができるか?」というストーリーを持っています。ちなみに110キロというのは、プロの女子投手のほぼ平均で、120キロで速球投手と呼ばれるそうです。

稲村亜美は今、「神スイング」を出発点にプロ野球ニュースの司会に抜擢されたり(当然女子アナより野球に詳しい)、自ら野球に挑戦することで、アイドルとしての付加価値を高め、ファンの育成と拡張に努めています。彼女は「C. 若くて元気でフラフープをする美しい女性」を選択し、USPをうまく訴求しているのです。

一方、AKB48SKE48、乃木坂46やももいろクローバーZなどは相変わらず高い人気を維持しています。なぜ、彼女たちは長いあいだ人気を維持できているのでしょう? 彼女たちは「アイドル」というコンテンツに、「リアリティ」と「ストーリー」を抱えているからです。彼女たちは、ただ歌って踊るだけではありません。生き残りをかけた過酷な闘いまでをもコンテンツとして見せることで、「リアリティ」と「ストーリー」をファンに提供しています。だからこそ、ユーザーはそのアイドル(コンテンツ)に共感を抱き、絆を強くしていくのです。

コンテンツに「リアリティ」と「ストーリー」を付与することは簡単ではありません。お金をかければできるわけでもありません。

しかし、企業がビジネスを営み、商品やサービスを提供している限り、そこには必ず「リアリティ」と「ストーリー」が内在します。あとは、それをどういう表現方法で提示するかを考えるだけです。

付加価値の高いコンテンツは、決して他人任せで安いコンテンツを大量生産することではないのです。

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著者紹介

成田 幸久(なりた ゆきひさ)
成田 幸久(なりた ゆきひさ) コンテンツディレクター(コンテンツマーケティング戦略支援・制作支援)

AMEX会員誌『IMPRESSION』、『ワイアード』日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか『ギズモード・ジャパン』創刊ディレクター、セブンイレブンとヤフーの共同事業メディア『月刊4B』編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、Webメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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